チーズ工房アドナイ
(北海道・興部町)
「さゆり」
チーズ工房アドナイのブリータイプの白カビチーズ
「さゆり」
熟成が進むにつれ、表面の白カビが少しづつ茶色がかった白色に変化し、中身もサクサクした食感から柔らかい食感に。クラッカーやリンゴなどのフルーツ、ドライフルーツ入りのパンなどと一緒にどうぞ。
興部町から届くアドナイのチーズたち。
フェルミエとは縁の深いチーズ工房アドナイ、創業者の堤田克彦さん。九州生まれの堤田さんが北海道の興部町に移住して立ち上げたチーズ工房アドナイが生み出すチーズたちは、プロの料理人にもファンが多く、そのおいしさは高い評価を得ています。
出会いはフェルミエ創業当時。
チーズ工房「アドナイ」のオーナー、堤田さんは九州生まれ、北海道で牧畜を学び、卒業後は千葉の乳業メーカーに就職しました。堤田さんとお会いしたのは、フェルミエを創業して間もない頃でした。好奇心旺盛の堤田さんはちょくちょく顔を出してくれて、いつしか仕事を手伝ってくれるようになりました。私が無理やり振っていたとも言えるのですが、配達業務までお願いしていました。
ある日突然、堤田さんは会社を辞めて北海道に移住すると報告に来てくれました。移住先の興部(おこっぺ)はオホーツク海に抱かれた町。緑豊か、酪農業と水産業が盛んだといいます。興部に移住を決めたのは大学時代の友人、大黒宏さんの農場「ノースプレインファーム」のチーズ製造を任せられたからです。ここで数年働いた後、1996年に「アドナイ」を立ち上げました。
家族でつくるチーズの歴史。
研究熱心で個性的なチーズをつくりたいと、試行錯誤を繰り返す堤田さんのチーズは業界でたちまち評判になっていきました。白かびをまとった「さゆり」はお嬢さんの名前です。少子化が進む世の中ですが、堤田家は10人の子供に恵まれ、しかも男5、女5とバランスがいいのです。チーズの名前は5人の女の子の名前が付けられています。長女「めぐみ」、次女「つばさ」、三女「いずみ」、四女「のぞむ」、そして五女が「さゆり」です。さゆりちゃんは今年25歳になるといいますから、しっかり歴史を刻んでいることがわかります。
同じチーズの道へ。
チーズ製造は息子たちが中心となり工房を運営しています。子供の頃から率先してチーズ製造を手伝ってきた長男のひかる君が跡を継ぐと、次男のまこと君、三男のもとい君もチーズと生きる道を選んだというのですから、堤田さん夫妻の喜びはひとしおでしょう。息子たちのアイディアで新しいチーズが生まれていく、ますます目が離せない工房です。
「さゆり」はブリータイプの白カビチーズです。熟成が進むにつれ、表面の白カビが少しずつ茶色がかった白色に変化します。中身が柔らかくなった頃が食べごろです。まず優しい味わいの「さゆり」を春の日差しの中でドライフルーツ入りのパンやフルーツを添えてゆっくり楽しんでいただきたいと思います。