「養沢ヤギ牧場」訪問レポート <2025.4>(東京都・あきる野市)養沢ヤギチーズ
可愛いヤギたちとふれあえる、養沢ヤギ牧場でのほっこり体験レポート。

皆さん、東京にヤギを育てるところから始まり、搾乳とチーズ製造を行なうチーズ牧場があることをご存じでしょうか。
メディアにも取り上げられることが多い「養沢ヤギ牧場」。東京・あきる野市、養沢地区に位置します。近くには鱒釣りやキャンプ場もある自然豊かな場所ですくすくと育ったヤギのミルク、そこから産み出されるチーズは絶品です。
2025年4月下旬、「チーズの製造現場を見たい!」「可愛い子ヤギに会いたい!」とワクワクのフェルミエスタッフ4名で訪問し、牧場主の堀周(いたる)さんにお話を伺いながら、製造の様子を拝見させていただきました。


可愛いヤギたちのお出迎え
訪問の了承を頂いた際に「ポツンと一軒家ですよ」とお伺いしていたのですが、なるほど、養沢ヤギ牧場へ繋がる山道は車を交差するのは困難であろう道幅。緩やかな山道を車で進むと「養沢ヤギ牧場」が!早速、可愛いヤギさん達がお出迎えしてくれます。
「養沢ヤギ牧場」には12頭の母ヤギがいるのですが今年はなんと29頭の子ヤギが誕生したそうで、最後に生まれた子達がこの世に産み落とされたのは訪問の10日程前!
本来、子ヤギが暮らす厩舎は最大24頭用なのですが、なんと5頭もオーバー。最後に生まれた2組の双子のヤギは親用厩舎で母ヤギのミルクを直飲み。双子たちの1頭を抱っこさせていただいたのですが、連れて帰ってお家の中で飼いたいぐらいの可愛さ!真剣に悩みましたが、「100kg」になりますよ、と言われて断念(笑)。
大切なミルクのお裾分け
ご存じの方も多いとは思いますが、本来母ヤギのミルクは子供を出産し、育てる為に出るものです。その大切なミルクを人間はお裾分け頂いています。
この日、ほとんどのヤギの搾乳は終わっていたのですが、1頭だけまだ搾っていなかったとのことで、搾乳の様子を見せていただくことが出来ました。おっぱいが張っていたこともあり、軽く搾っているように見えるのに驚くような勢いで搾乳されます。
ヤギ達は干し草、春夏には青草を中心に餌を与え、朝夕の1日2回で1頭6リットル近いミルクを出しており、今のシーズンはカロリーの高い飼料も与えているそうです。
「養沢ヤギ牧場」で働くヤギたちは全頭「雌」!10月頃になると血統の良い「雄」を借りてきて種付することで年々品種改良され、その成果で今年は沢山の子ヤギが誕生し、搾乳量もUPしたというわけです。もちろん、草メインの餌に切り替わる迄は子ヤギ達も母ヤギ達のミルクを飲んでいますのでご安心を!


チーズ工房でのチーズ作り
「養沢ヤギ牧場」は5年前にこの地にある古民家を工芸家であるお父さんの力を借りて堀さんご自身でお住まいとチーズ工房としてリノベーション。この工房でのチーズ作りは、2日間で搾乳した80リットル分のミルクを50分加熱殺菌するところから始まります。その後、冷やしたミルクに乳酸菌を加え、ホエーを抜く為に布袋に入れます。最初は自重でホエーを抜き、夕方は重しをして、ホエーを抜くのに約24時間を費やします。ホエーが抜けた生地をボウルにあけて塩を入れて、混ぜた後、チーズを丸めて形成してから熟成庫へ。熟成庫で12~13日間熟成させます。
今回、ありがたいことに「ホエー」と「ブラン」を味見させて頂きました。出来立てのほのかに温かな「ホエー」はヤギ臭さもなく、ほんのりした酸っぱさは感じるものの、ゴクゴク飲めてしまうほど!「ブラン」は杏仁豆腐のような色合い、固さでのどこし良く、つるん。こちらもヤギ特有の青臭さがなく、そのままでも美味しいのですが蜂蜜やジャムを加えたらもはやデザートです。
チーズ作りの現場を見せていただいた後は改めて、出来上がったばかりの「養沢ヤギチーズ」を試食させて頂きました。まだフレッシュ感の残ったきめ細やかなチーズの生地や優しい風味に溢れています。甘さを加えるなら蜂蜜がおすすめですが、フレッシュなサラダの上に薄くスライスしたチーズ、オリーヴオイルをかけてお召し上がり頂いても良さそうです。
養沢ヤギ牧場のこれからの挑戦
現在、「養沢ヤギ牧場」では「養沢ヤギチーズ」の他は、近隣のレストランさん向けに「フロマージュブラン」を販売しているそうですが、優秀なヤギ達のお陰で搾乳量も増え、そろそろ山羊乳を使ったハードタイプチーズの生産にも取り組んでいきたいとのこと。以前にフェルミエにご来社いただいた際にも山羊乳のブルーチーズを試作しているとおっしゃっていました。
ヤギ達の面倒を見ながらチーズを作り、新作にも意欲的!本当に頭が下がる思いです。新作チーズをフェルミエで扱えるその日が来るのを愉しみに待ちつつ、まずはこの初夏に「養沢ヤギチーズ」を思う存分食べたいです。
※「養沢ヤギチーズ」は月2回入荷の受発注商品となります。毎年4~11月頃限定の取り扱いとなりますので予めご了承下さい。
