とろろ園 − 友沢ミミヨ・こたおによる親子アートユニット − アーティストインタビュー
ナチュラルチーズ専門店 フェルミエ白金台店では、展示アーティストさんとのコラボチーズプレートをギャラリースペースにて提供しています。 今回初の試みとして、アーティストさんへのインタビューを企画しました。 第1回目は、DNAアートユニット とろろ園の漫画家・イラストレーターの友沢ミミヨさんと、画家の友沢こたおさんに、トロトロチーズ、モンドールのチーズプレートを召し上がって頂きながら、とろろ園誕生のきっかけや2人の関係性、作品制作の様子、チーズとの出会いをお話し頂きました。こたおさんがモンドールをリクエストしてくれた理由も見えてきます。 楽しいエピソードを知った上で作品を見ると、また違った世界にぬめっと、とろっと入り込めます。

東京都庭園美術館 特別展示 「ランドスケープをつくる TORORO LAND」 展
3月4日(火)〜 3月30日(日)
teien-art-museum.ne.jp/event/20250304

フェ(フェルミエ): まず、とろろ園はどのように生まれたのですか?
ミ(ミミヨさん): 数年前にギャラリーから個展のお話をいただいた時、何か新しい事を始めたいなと思って。私の絵をこたおが立体的に描いてみるのはどうかな、と。「やりたいねー」と、以前から2人で話していたことを思い出しました。彼女も「描きたい!」って言ってくれていたので。
こ(こたおさん):最初は新作を描く予定だったのが、締め切りが近づいてきても母がなかなか描かず、私がハラハラして、昔の作品を「これを描いてみよう!」って油絵で描き始めました。描きながら、出来上がっていく絵の奇妙な感じにクラクラして「いいねーーーーー」って2人でキャーキャー言いながら最初の作品が生まれました。リエディットというのかな。新しい作品も二人で相談してアレンジしたりして、2人で作り上げています。
フェ:楽しい関係がよくわかりますね。
ミ:面白いですね。センスが違うなと思っていたら、一緒にやってないでしょうね。
フェ:こたおさんの年代で、お母さんとこんなに仲良しというのは珍しいのでは?
こ:そうですね。あんまりいないかもしれませんね、周りには。
ミ:通じるのが早いっていうか、面白いって思うものが一緒だったり、娘がこんなこと面白がるんだ、っていう 新鮮な発見もまだいっぱいあって。自分の作品プラスふたりでもっ と増える感じ。
フェ:1足す1が2以上になるということでしょうか?
こ:そう、そう。
ミ:それはすごくある。頼りになりますね。一緒にやってて楽しいです。
フェ:「Artist in Residence ※」で、妹島館長が改修に関わった部屋でキリっと、真摯に作品に向き合うこたおさんがとても印象的でした。一方で、スライムを自分に浴びせたとき、気持ちが切り替わった経験をした、というのも知りました。先ほどお母さまのことをぶっとんでると言っていましたが、こたおさんの中にもかなりぶっとんでるものを感じました。
※https://www.youtube.com/watch?v=bmkA0A6g20w&t=39
こ:母譲りです。
フェ:DNAを感じますね。
こ:母のほうがぶっ飛んでます!
ミ:面白いユニットだと思います。
フェ:おふたりのやり取りを聞いていると、やっぱり親子なんだなあと感じます。
ミ:やりやすい、一番揉めない感じですね。
こ:全部話し合ってる。
フェ:大ゲンカしたことはないんですか?
こ:一回もないかも。
ミ:シリアスなのはないかも。どちらかが機嫌が悪い時に1、2回?でもすぐ謝ったり、謝られたり。
こ:ふたりとも天秤座なんです。なんかあってもこうね(バランスをとるしぐさ)。今回も1回あったよね。
フェ:親友みたいですね。
ミ:もう長いですからね。
こ:親友でもあり親でもあり。何でも相談します。制作のこともだし、人生のことも。
フェ:羨ましい親子関係ですね。


フェ:ところで、今ぱくぱく食べていただいているチーズとの関わりですが、チーズを好きになったのは?
ミ:こたおはフランス生まれなので。小さい時から食べてたよね。
こ:小さい時あんまり食べない子で、でもチーズは大好きでした。チーズと肉ですね。超大好きで。そんな感じで今もその延長で、チーズと肉!
ミ:フェルミエの社長さんにも美味しいチーズをいろいろ食べさせてもらって、美味しいチーズが大好きになって。チーズに関しては舌が肥えてます。
フェ:さっき、エポワスのことを話してましたけど、一番くさいもののひとつですね。
こ:一番好きです。ねっちり埋めつくされていたいです。だから、モンドールも大好きです。埋まるのが好きです。水あめとかも好きです。
フェ:スライムともつながってきますね!
こ:(大爆笑)なんか埋まりたい~。
ミ:粘度がね。ねちっとしたのが。
こ:そうそう。熱したチーズ、ラクレットも好きです。あと、フェルミエさんのチーズトースト(愛宕店の人気メニュー)も大好きです。チーズは存在として尊敬しています。アートみたいな感じで、崇高な、神秘、魔術みたいにも感じるし、エポワスみたいになりたいです。
フェ:くさくて、埋まりたい?
こ:埋めたいし、、くさくて、おかしくて、もう何でもいい!そういう絵を描きたいです。
フェ:でも、とろろ園ではなく、こたおさんの絵からはにおいは感じなくて、逆に崇高な印象です。
こ:ありがとうございます。あれは、自分の一番きれいを出すように描いてます。一番きれいなことをやってます。
ミ:こっち(とろろ園)でガス抜きをね。
こ:今回は押さえましたけれども、、
フェ:ちょっと違うラインのこともやってたほうが、自分の中でバランスも取れるということでしょうか?
こ:そうですね。ずっと同じことやってるとわからなくなってくるんで。ちょっとリズムつける感じは自然とやってます。


フェ:お二人は絵を描くとき音楽とか音ってありですか?
こ:ありですね。無音では描かないですね。
ミ:音楽かけてーって
こ:そう、口癖のようにね。
こ:音でスイッチ入れる感じはありますね。その時のこころの状況によってかける曲は変わってきて、曲だったりラジオだったり。怖いゲームの実況とかかけてるときあります。
フェ:ミミヨさんは聴きますか?
ミ:聴きますけど、とろろ園の時はこたおが手を動かしてるから、彼女が聴きたいものを。自分が描くときは自分が聴きたいものを。場で選んでますね。一番その場に合うものを。
フェ:音楽はかなり重要なんですね。
ミ:重要ですね。
こ:音楽によって描ける時もあれば邪魔されるときもあります。無音だと苦しくなります。
こ:あと、遭難のドキュメンタリーかけて描いたり。山で遭難の。
フェ:???
こ:その時は締め切りがすごく近くて、全幅8m以上の作品を描かなくちゃいけなくて、、「わたしを置いて行ってください、、」みたいな声の再現とか。限界を取り入れる事で奮い立つというか。
ミ:一人の力じゃやってられないっていうとき、音楽とか奮い立たせてくれるものがないと一人作業はしんどいかな。
フェ:確かに描くときはみんなひとりですもんね。
こ:そうですね。究極にひとりになっちゃうから、いい状態のひとりが大事。
フェ:お二人に伺います。作品制作の過程で、その作品を描き終えた!という手応えはどうやって得ていますか?つまり、終わりの見極めはどうなっているのかな、と。
こ:それはとても繊細な問題ですね。いろんなスタイルがあって、わたしは具象的でかたちのあるものを描いてて、自分の頭の中の声だったり、身体に出ますね。お腹が痛いとか。例えば、描き終わったと思ってもお腹が痛いと、それは描き終わってないってことで。描き終わってたら、そこには独特のスッと抜ける感じがあります。寝れるとかしんどくないとか。だから身体に聞いてる感じです。
ミ:そうね、描いてる途中でやめるのが一番しんどいって言ってるよね。
こ:寝れないんですよ。
こ:今回、ズボンの絵を最初違った感じで描いていて、そしたらもう恐怖。こっちがよかったんじゃないの?って頭の中がチカチカして、止めようとしても止められない感じで、
こ:もう、歩きがままならない感じになるんで、「直すか!」って直したら、シュッて治まるみたいな。
こ:お母さんは?
ミ:わたしは、そんなにシリアスじゃないんです。締め切りまであと10分!わーーー!だから、自分が納得っていうんじゃなくって、あとこの線入れたらおしまいか、っと省エネです。
こ:いえ、わたしも普段は全然ないんですけど、とろろ園に関してはすごい出ました。新しい試みは、自分の中のかなりの部分を壊していって実現させるものですから。
ミ:描いてる時もちょっとずつその子が生まれてくる感じがあって、
こ:そうそう!だんだん吹き込んでいく感じ。
ミ:いなかった子が生まれてくる。
こ:強い責任感がうまれて、どう完成するかがわかんないし、この子を大事にしたい、その一心で、おなかがいたくなったり、トイレから出れなくなったり。


フェ:今回のとろろ園の作品、こたおさん自身の作品には、何かを被ったり、浴びたり、覆ったりしたものが多いと感じたのですが。
こ:落ち着くんです。
ミ:ちょっと隠してると、ミステリアスで何かを想像させますよね。
フェ:確かに奥にあるものを想像しちゃいますね。
ミ:でも、全裸に近い子も描いてますね。
こ:いろんな子を描いてます。
ミ:この子たちは、いろいろ増えてきたマスクシリーズです。今回の展示は、旅先の寺院で見たレリーフに着想を得ていて、白い壁にこの子たちが並んでいると、神様みたいかなとか、なんとかレンジャーとかね。窓の外の自然との関係性も感じられるようなひとつの世界観を表現できるかなって。
こ:わたしはこうやってくり抜かれて見える目、鼻、口のフェチみたいなところがあります。見ると安心するんです。向こう側に生きている何かいるっていう安心感。布で人の頭をくるんで、上から触って想像するのが好きで。中でうごめいているエネルギーを感じられて。
こ:目、鼻、口っていうこの臓器。粘膜に包まれてまる出しになっている目玉とか、口だってよく見たら変なかたちで、そういうのがみんなむき出しで外側に付いてるってことが面白いし、構造とか無視して、目、鼻、口を描いてる時間が楽しくてしょうがないです。自分が素直に描きたい可愛い口とか鼻を邪念なく、まっすぐに描いてるそういう時間です。
フェ:作品を描くとき目は最後に描くんですか?
こ:いえ、絵によって様々で。でも目、鼻、口は最初に描きます。奥からですね。
フェ:えっ!真ん中から外側に膨らんでいくんですか?
こ:そうですね。奥にあるものから描いてくんですよね。そこから上にのせていく感じです。
フェ:こたおさんが奥側を描いているとき、描いている子のイメージはなんとなくあるんですか?
こ:ありますね。うっすらあります。母の下絵は鉛筆ですごくラフなんですが、そこにリスペクトを持って、こういうかわいさを引き出そうと考えます。でも描きながら、この目の輝きが今きれいだとか、唇はこのひらきかたとか、歯は上から見せようか、下から見せようかとか、その都度母に確認しながら描きます。だいたい母は「かわいいじゃん!」って言いますけどね。
フェ:下絵が鉛筆描きということは、色はのってないんですよね。
こ:はい。iPadで色は入れますが、ねっちりとした立体感では現れてなくて、描くときすごい怖いんです。できるのかなって。
ミ:例えばここの(実際に作品に近寄って解説してくれました)エナメルやマット感という質感の描き分けは私にはできないんです。


フェ:描く手順は、まず、ミミヨさんの鉛筆描きのラフがあって、iPadで色をのせて、最後にカンバスに描くというものですね。
フェ:奥から描くというのにはびっくりしました。(素人発言ですね)
こ:そこは、学校や予備校で学んだことを生かして描いてます。
ミ:でもこういうの(「タコ」の絵)は最後に目だよね。
こ:ま、これは顔が一番前にあるからね。
フェ:でも、この絵を見た時、もしかしてこの中にはなにかがいるんじゃないか、、と思ったりしました。
ミ:こ:(爆笑)
フェ:星の王子様のアレみたいに。
ミ:今度は中にいる本体を描きます。
フェ:何が出てくるか楽しみです!今日はありがとうございました‼
こ:すっごく美味しかったです‼
(了)
東京都庭園美術館 正門横ギャラリー於
撮影:松田玲奈(フェルミエ)
インタビュー:田村智恵(フェルミエ)
◇とろろ園◇
友沢ミミヨと友沢こたお親子の2019年結成DNAアートユニット
ミミヨの原画をこたおがねっちり油絵で立体的に仕上げる。
https://www.instagram.com/tororoen/
友沢ミミヨ(ともざわ みみよ)
漫画家、イラストレーター
https://www.instagram.com/mimiyo_tororo/
友沢こたお(ともざわ こたお)
画家
https://www.instagram.com/tkotao/