11月の秋の夜長に…。
シダの葉が飾られた美しい
白カビチーズ「フージュルー」。
お酒の美味しいこの季節にぴったり!!
ボージョレ・ヌーヴォに合わせても美味しくいただけます。
お好みのワインに合わせて、食べ方も色々楽しめます。
「フージュルー」は、世界各国で愛され続けている「ブリ ド モー」で有名なモー村と、「ブリ ド ムラン」で知られるムラン村の丁度真ん中でつくられている「ブリ」の仲間で、もともとは農家で自家用にシダ(Fougre)を飾って香り付けしていたのが起源と言われています。
生産者のルゼール社(ROUZAIRE)は、まだチーズ商だった1957年に初めてフージュルーを当時の中央卸売市場「レ・アール・ド・パリ」で販売しました。シダの葉がのったこの白カビチーズは、7~12週間の熟成期間の最後に、地元の森で毎年収穫できるシダの葉が置かれ、ブリやクロミエなどとはまたひと味違った風味を出します。生地はなめらかで、デリケートなバランスの良いこの味わいは評判になり、60年以上の歴史を経た今では、星付きレストランの有名店をはじめ、多くのシェフに愛され、フランス国内だけでなく、多くの国で最も高く評価されるブリ系チーズの1つとなりました。生産量の半分以上が外国への輸出用になっており、白カビチーズの製造が盛んなイル・ド・フランス地域圏においても有名なチーズへと成長しました。
フージュルーは、熟成の若いうちはしっとりと、熟成が進むに従い森を思わせるシャンピニヨン(きのこ)の香りが優しく広がります。まずはそのままチーズの味わいを楽しむのはもちろん、シンプルにバゲットやクラッカー、生ハムやフルーツなどと合わせたり、これからの時期は焼いて食べるのもおすすめです。1ホール(約700g)で購入して上面の皮を切り、豪快に丸ごとチーズフォンデュにすればパーティの席にぴったりですね。比較的幅広い種類のワインと相性が良いですが、上級のシャブリなどのシャルドネワイン、またはニュイ・サン・ジョルジュなどのエレガントなワイン、この時期はボージョレ・ヌーヴォに合わせても美味しくいただけます。
白カビチーズの名手「ルゼール社」。
フージュルーの生産者であるルゼール社は、パリから約1時間、セーヌ・エ・マルヌ県のブリー(Brie)地区の中心に位置し、有名なブリ3兄弟(モー、ムラン、クロミエ)を製造する他、脂肪分の高いチーズの開発に力を注いできました。フェルミエで取り扱う商品の中では、ファン ブリヤー オレンジ リキュール、ピエール ロベールなどの白カビタイプの名品にも長年ファンが定着しています。
ルゼール社は、現在まで3代続く家族経営の生産者です。初代はチーズ商としてスタートし、農家からチーズを買い、熟成させて販売していました。第2次世界大戦後にチーズ市場は大きく成長し、1960年代に現在のブリ地区の土地を購入し、半地下に熟成カーヴをつくりました。この地で、まだ冷蔵設備が整いにくい時代に湿度も温度もブリ熟成に適した環境をつくり、現在も当時から続く美しいカーヴは機能しているのですから、ルゼール社の先見の明には驚かされます。
チーズの製造工場はルゼール本社から10kmほど離れたところにあり、セーヌ・エ・マルヌ県内の農家から乳を集荷しいます。この地域で飼われている牛は主にホルスタイン種が多く、放牧を中心に冬の間は干し草を与え、運動場がある広い牛舎で健康的な生活をさせるのだそうです。ここで採れたミルクから製造されたチーズはカーヴに運ばれ、それぞれのレシピにしたがって熟成させていきます。現在では多くの国で親しまれているルゼール社の白カビチーズ。この秋冬にワインと共にぜひお楽しみください。