チーズ工房 アドナイ 北海道
「ミモレット アドナイ」
日本で最初に生まれた「ミモレット」
この10年間で日本のチーズ工房は300を超えるまでになりました。 個性あふれるオリジナルチーズが次々と生まれています。今回はチーズ工房 アドナイ(北海道・興部町)の「ミモレット アドナイ」をご紹介します。
大草原の暮らしに魅せられて ~ 北海道興部(おこっぺ)への移住
夏は海霧、冬は流氷が見られるオホーツク海に面した北海道興部(おこっぺ)にあるチーズ工房「アドナイ」。その歴史は1994年まで遡ります。オーナーは堤田克彦さん。九州生まれの堤田さんが北海道移住を決心したのは、大家族が安心して暮らせる大草原の暮らしに魅せられたからだと思います。
堤田さんは酪農学園で学び、千葉の乳業メーカーに就職しました。フェルミエを立ち上げてまもなくチーズを買いに頻繁に顔を出してくれた堤田さん、次第に仕事を手伝ってくれるようになりました。フェルミエ社員旅行で小淵沢の雪印研究所を一緒に訪ねたことや、チーズ専門誌「アリスティアス」の取材も運転手として同行してもらい、北海道のつくり手を巡ったことも懐かしい思い出です。
アドナイのチーズはたちまち有名に
興部に移住し、大学時代の友人の会社で数年働いたあと、1994年に「アドナイ」を立ち上げました。個性的なチーズをつくりたいと日々研究に余念がなかった堤田さんのチーズは、業界ではたちまち評判になりました。少子化が進む世の中ですが、堤田さん夫妻は10人の子供に恵まれて、それは楽しそうです。しかも男5、女5とバランスがすばらしいのです。
小さな頃から率先してチーズづくりを手伝ってきた長男のひかるさんが跡を継ぐと、一生懸命仕事をする兄の姿を見て、次男、三男、四男もチーズと生きる道を選んだというのですから、頼もしく、堤田さん夫妻の喜びもひとしおでしょう。
国産ミモレット第1号の誕生
チーズの種類は多く、新しいチーズも次々と生まれていますが、今回はロングセラーの「ミモレット・アドナイ」をご紹介いたします。20年ほど前、丸いミモレットの型を入手したので試しにつくってみたところ、ミモレット・ジュンヌのような組織でふんわりと優しい味わい。評判も上々ですぐに定番商品となったといいます。フランス産よりひとまわり小さな1.8kgです。国産ミモレット第1号の「ミモレット・アドナイ」、おだやかな味わいを是非お楽しみください。