11月は冬の入口。お好きなワインや日本酒とご一緒に。
イタリアを代表する伝統のウォッシュチーズ。
タレッジョ渓谷での伝統的熟成。
イタリアのウォッシュチーズを代表する「タレッジョ」の故郷は、冬は雪に閉ざされる北イタリアのタレッジョ渓谷。第1次大戦後には平野部でも大量に生産されるようになった人気のチーズですが、重要な熟成の段階をタレッジョ渓谷で行うことにこだわり続けているのが「CasArrigoni(カザリゴーニ社)」のタレッジョです。
北イタリアでタレッジョを製造している生産者は、かつては73軒ありましたが、現在では12軒ほどになってしまいました。カザリゴーニ社では、その内の3軒からタレッジョを仕入れて熟成しています。フェルミエで取り扱っているのは、ZUVADELLI(ズヴァデリ)さんのつくるタレッジョ。殺菌工程で他の生産者より少し高めの温度で殺菌処理をして、その上でカードをより細かくカットしているため、優しい味わいになるようです。その後、カザリゴーニ社で行われる熟成の段階では、松の木箱に入れて綿100%の布で覆うなど、伝統的な昔ながらの熟成方法が採られ、2ヶ月以上の熟成をされます。そのため、他のタレッジョよりも香りが強めになり、熟成がゆっくり進んでいき、味がマイルドになります。塩水で洗われてできる外皮は特有の香りを放ちますが、中身はなめらかでミルキーなやさしい口当たりが不動の人気を誇る所以でしょう。熟成の若いうちは酸味も爽やかで、熟成するにつれてコクのある旨みが増していきます。
ガザリゴーニ社おすすめの楽しみ方は、まずはそのまま食べてみて、その後オーブンで焼いたり、マスタードを付けたりして食べることだそうです。最近では、オニオンマスタードと合わせるのが美味しいそうです。お酒に合わせるなら、フルボディの赤ワインやしっかりめの白ワイン、辛口の日本酒などが、タレッジョの美味しさをよく引き立てます。
土地の強みを活かす家族経営のカザリゴーニ社。
1970年代に初代アリゴーニ氏がタレッジョ渓谷のチーズを集めて熟成を開始したのが、CasArrigoni(カザリゴーニ社)の歴史の始まりです。親戚を含めた家族経営で、80年代初期に組織化し、現在のCasArrigoniの社名としては2010年の設立となります。ロンバルディア州では、イタリアDOPチーズの3割がつくられており、ワインの生産量よりミルクの生産量の方が多いと言われるほど乳製品の製造が盛んな州です。
平地での乳製品製造が主流となった一方で、山岳地帯のタレッジョ渓谷では、人手不足が大きな問題となっており、個人経営よりもコーポラティブという形で共同出資をして酪農経営をしています。
タレッジョの製造者、ZUVADELLI(ズヴァデリ)さんの所では、フリージアン種の牛のミルクを使ってチーズをつくっています。良質なミルクを使ってつくられたタレッジョの味わいを引き出すのは、長年熟成を担ってきたカザリゴーニ社の熟練の仕事です。芸術的とも言える、滑らかな舌ざわりとデリケートなミルクの甘みを持った深い味わいが生み出され、今では世界15ヶ国以上にチーズを届けています。
▼ Fermier Buyer’s Comment
〜 フェルミエ バイヤーズコメント 〜
■「タレッジョ Taleggio」
〜 ひとあじ違う王道イタリアチーズ 〜
11月のおすすめは、タレッジョ渓谷で伝統を守り続けるカザリゴーニ社(CasArrigoni)の「タレッジョ」です。由来はロンバルディア州「タレッジョ渓谷」ですが、タレッジョ渓谷で熟成をしているのはカザリゴーニ社を含めてたったの2社だそうです!カザリゴーニ社のタレッジョは、ウォッシュらしい華やかな香りをしっかりと感じますが、意外にも味わいは繊細でまろやかなので、とても不思議だなぁと感じていました。他にはない特徴的な香りと味わいの秘訣を質問させていただいたところ、香りは伝統的な松の木箱・綿100%の布を使った熟成方法から得られるもの、味わいは塩を加えるときに、多くの生産者で行っている塩を塗り付ける方法ではなく、乾いた塩を振りかけることで塩が強すぎず、まろやかな味わいを作り出しているとのことでした。伝統を守りつつも、さらに美味しいチーズを追求する、アリゴーニさんのこだわりを感じますね。豊かな香りとまろやかな味わいは、ワインはもちろん、他の食材とのマリアージュも抜群です。ブラックベリーやリュバーブのジャムと合わせてデザートのように。カボチャやキノコと合わせてパスタやリゾットにも。ぜひ、この季節の食材と合わせて楽しんでいただけたらと思います。
イタリアの北部では、昔から夏はアルプスの山で牛の放牧を行い、寒さの厳しい冬になると、山を下りて牛を人里に帰していました。その旅路の途中で採れたミルクで作ったチーズがとても柔らかい食感で美味しかったために有名になり、長旅で牛や牛飼い達が疲れていたため、「ストラッキーノ(疲れた)」と呼ばれて親しまれていたそうです。これがタレッジョの原型と言われています。ひんやりと肌寒くなってくるころ、タレッジョが生まれた1000年も前の冬の冬のアルプスの山々やそこで暮らす牛たち、人々の光景を思い浮かべつつ、濃厚でミルキーな本物のタレッジョの美味しさをじっくりと味わってみてください!
■「タレッジョ」のカット・保存方法
<カット方法>
柔らかく、粘着質なタイプのチーズですので、カットには細身の刃をもつナイフが適しています。塩水やお酒で洗った外皮は他の商品に比べて香りが個性的です。ウォッシュをカットしたナイフで他のタイプのチーズをカットしないようにお気をつけ下さい。
<おすすめ器具(製品)>
オリジナルナイフ
<保存方法>
包装資材:セロファン、二重紙、ラップなど
温度:10℃以下
保管方法:冷蔵庫の冷気吹き出し口の近くや他の食材からは離して保管をおすすめします。また、乾燥防止や他の食材への匂い移り防止の為にきっちりと包んでください。
注意点:その名の通り洗っている外皮のため、乾燥しないように保存をして下さい。他の商品と一緒に保管をすると香りが移ってしまう可能性がございます。
品質・状態:● 熟成が進むと、香りが強くなったり、チーズ自体が柔らかくなったり、表面がベタついてくることもあります。
● 乾燥すると表面が白っぽくなる場合がございます。乾かないように保管をするようにいたしましょう。
● チーズ表面にカビが生える事がありますが、商品の特性上問題はございません。気になる場合は削り取ってお召し上がりください。