今月のチーズのお話

2019 November

オッチェッリ アル バローロ Occelli al Barolo
オッチェッリ アル バローロ Occelli al Barolo

掲載日:2019/11/25

オッチェッリ アル バローロ Occelli al Barolo

オッチェッリ アル バローロ Occelli al Barolo 

バローロ(ネッビオーロ)ワインの搾りかすに漬け込むことで、もとのチーズ「テストゥン(=石頭)」がソフトな紫色に変身していく様子は、まさに酔っ払っているようです。香り高く芳醇な風味とコクの滋味あふれる味わいには、ピエモンテの銘醸ワイン「バローロ」と「バルバレスコ」を合わせてどうぞ。
 スローフード協会本部があるピエモンテ地方の小さな町、ブラの近くに建つベッピーノ・オッチェッリ社。今でこそ多くの人たちが訪れるようになりましたが、1970年前後は経済情勢の低下により、若者たちは都会へ出稼ぎにいくのが当然の時代でした。乳製品も大量生産の時代へと移り、小さな村の工房は閉鎖を余儀なくされていきました。そんな中、ベッピーノは身体に重いというバターのイメージを打ち破ろうと考え、新鮮な牛乳の上澄みクリームを原料に4年の歳月をかけ手づくりバターを完成させました。それが1976年にできた、口当たり軽やかで爽やかな発酵バターです。その後もベッピーノは、古くから伝わるチーズが失われていくことを懸念していました。そしてチーズ工房を建て、集めたお母さんたちにチーズをつくってもらいヒントを得て、そこから「クルティン」や
「パーヤ」が生まれていったのです。さらに伝統の山のチーズをバルカソットで熟成させるだけでなく、酔っ払いチーズなどの開発にも情熱を注ぐなど、その意欲が衰えることはありません。
 「オッチェッリ・アル・バローロ」は、1999年開催のスローフード協会主催の「酔っ払いチーズ」コンクールにて見事優勝したことで一躍有名になりました。古くからつくられてきた「テストゥン」は7~8kgの円筒形をしたチーズで、石頭という意味があります。牛乳、山羊乳、羊乳、また混乳製など季節によって原料が異なるのも特徴です。1年程熟成させたものはゴツゴツとしてまるで石のようになってしまいます。この「石頭」をバローロワインの搾り滓に漬け込むことで生まれたのが「オッチェッリ・アル・バローロ」。中の白い生地はほんのりと赤く染まり、石頭はちょっと柔らかになり、程良く酔っ払ってくれるというわけです。チーズの美味しさをより引き出すために研究が重ねられた結果、牛乳4に対して羊乳1の混乳製に決定されました。1年の締めくくりに相応しいチーズといえるでしょう。
 ピエモンテの偉大なワイン「バローロ」や「バルバレスコ」を合わせ、究極の相性をお楽しみいただきたいと思います。